手取りとは?額面年収との違い
「手取り」とは、給与の額面金額から社会保険料や税金などを差し引いた後に、実際に銀行口座へ振り込まれる金額のことです。転職活動や就職活動の際に提示される「年収」は通常、額面金額(総支給額)を指しており、手取り額とは異なります。一般的に、手取り額は額面のおよそ75%〜85%程度とされていますが、年収が上がるほど税率が高くなるため、手取り率は低下する傾向にあります。家計のやりくりや住宅ローンの返済計画を立てる際には、額面ではなく手取りベースで考えることが大切です。
給与から差し引かれるもの
毎月の給与からは、大きく分けて「社会保険料」と「税金」が天引きされます。社会保険料には健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、そして40歳以上の方は介護保険料が含まれます。税金には所得税と住民税があります。これらを合計すると、額面の15%〜25%程度が控除されることになります。
社会保険料の内訳
健康保険料は病気やケガの際に医療費の自己負担を軽減するための保険で、保険料は会社と本人で折半します。従業員の負担は額面のおよそ5%前後です。厚生年金保険料は将来の年金受給のための掛け金で、こちらも労使折半となり、従業員負担はおよそ9.15%です。ただし標準報酬月額の上限があり、年収約900万円を超えると保険料は頭打ちとなります。雇用保険料は失業時の給付に備えるもので、従業員負担はおよそ0.6%と比較的少額です。介護保険料は40歳以上の方に課され、従業員負担はおよそ0.9%です。
所得税の計算方法
所得税は、額面の年収からまず「給与所得控除」を差し引いて給与所得を求め、さらに各種所得控除(基礎控除48万円、社会保険料控除など)を差し引いた「課税所得」に対して、累進税率(5%〜45%)を適用して算出します。給与所得控除は年収に応じて段階的に設定されており、年収が高いほど控除率は下がります。累進課税制度により、所得が多い人ほど高い税率が適用される仕組みとなっています。
住民税の仕組み
住民税は都道府県民税と市区町村民税を合わせたもので、前年の所得に基づいて計算されます。税率は所得割が一律10%(都道府県4%+市区町村6%)で、これに均等割(年額約5,000円)が加算されます。住民税は翌年の6月から徴収されるため、社会人1年目は住民税が発生しない点が特徴です。
給与所得控除とは
給与所得控除は、サラリーマン(給与所得者)にとっての「必要経費」に相当する控除です。自営業者が事業経費を差し引けるように、給与所得者にもスーツ代や通勤費などの概算経費として控除が認められています。控除額は年収に応じて異なり、年収162.5万円以下で55万円、年収850万円以上で上限195万円となります。この控除があることで、額面年収がそのまま課税されるわけではなく、税負担が軽減されています。
手取りを増やすための節税テクニック
合法的な方法で手取りを最大化するには、いくつかの制度を活用する方法があります。
ふるさと納税
ふるさと納税は、自己負担2,000円で各地の返礼品を受け取りながら、所得税と住民税の控除を受けられる制度です。控除上限額は年収や家族構成によって異なりますが、実質的に手取りが増えるわけではないものの、返礼品分だけお得になります。ワンストップ特例制度を使えば確定申告なしで控除が受けられるため、会社員にも利用しやすい制度です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税と住民税を直接的に減らすことができます。会社員の場合、月額1.2万円〜2.3万円の拠出が可能で、年間の節税効果は数万円に上ることもあります。ただし原則60歳まで引き出せないため、老後資金として長期で積み立てる計画が前提です。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは運用益が非課税となる投資制度です。所得控除の対象ではないため直接的に手取りが増えるわけではありませんが、投資で得た利益にかかる約20%の税金が免除されるため、資産形成の観点から活用する価値があります。2024年から始まった新NISAでは年間360万円までの非課税投資枠が設けられ、生涯で1,800万円まで非課税で運用可能です。